傑作は病気から産まれる

お金が取れる、要するにプロレベルの作品は、作者がある程度の技術やプライドを持っていれば量産されるものだが、こと「傑作」となるとそうはいかない。

人を感動させようという意志が伴わなければ産まれ得ない。

 

「人を感動させようという意志」とは意志であり、つまり心からの気持ちである。

これを持っている人間がしかるべき技術を運用することで、はじめて傑作が産まれる。

これをなくして傑作が産まれるなど、よほどの奇跡であり、基本的に傑作は、人間の心からの気持ちから生まれるのである。

しかし、傑作を作ろうとして気持ちをそのように誘導しようとしたとしても、ほぼうまくいかないだろう。

それは送ってきた人生からにじみ出るものである。

または瞬間最大風速的に生まれる情熱である。

いずれにしろ気持ちの大きな動きである。

ある種の病気かもしれない。

このような精神を持った人によって傑作が産まれるのであり、この精神は制御しようとしてもほぼ制御できないものである。

世に出る傑作達は、そういった瞬間最大風速的な情熱を持った創作者によって産まれたものである場合がほとんどだ。

技術を持っていたとしても、傑作と呼べるものは一度だけしか出せなかった作家はこれまでにたくさんいるだろう。数多の作家が人生を燃焼させた軌跡である。

 

技術は学べば手に入る。しかし精神となると難しい。

傑作は病気の精神でなければ産まれない。病気は治ってしまったら、もう同じ病気にかかることはない。

傑作達と張り合うならば、病気の人々の瞬間最大風速的な一瞬の燃焼よりも熱い精神でならなければならないだろう。

 

今日も世界のどこかに、傑作の誕生とともに病気から回復する創作者がいる。