WEB漫画と紙面漫画
いまのいままで気づかなかったことがある。
たった今気づいたことがある。
どうして気づかなかったのか?
情けない気持ちになる。
WEB漫画と紙面漫画の見せ方、読者の面白がり方の違いについてなんだけど。
WEB漫画はページ数にこだわらなくていい。
ページ数の制限は足枷でしかない。
「このシーンを見せたいけどページ数が多くなりすぎるよな~、削らないとな~」なんて思わなくていい。ページ数にこだわらなくていい。面白ければいい。
作家が思いつくままに描いていると、基本的にはページ数が多くなりすぎるので削る必要があり、削るために労力が必要になる。見せたいものは見せ、優先度の低いシーンを省略するために考える必要がある。…それが必要ないのだ。WEB漫画ならば。
更新頻度のほうが重要なのだ。推敲なんてせず、垂れ流したほうがWEBでは効率が良い。WEB漫画作者はそうしているし、WEB漫画の読者もそれ前提で読んでいる。
紙面の漫画ではどうかというと、違う。
物理の紙もインクも無料ではない。だから雑誌への掲載を編集者と一緒に考えて、少ないページ数でインパクトを与えるための技法をひたすら磨いてきた。それはもう手塚治虫の時代からそうだっただろう。
あくまで有限の空間で表現してきた。その文法が蓄積されていった。
ベテランたちが語るノウハウは、そういった紙漫画の文法を言うのだ。WEB漫画の文法なんて誰も語っていない。時代が追い付いていないから。
WEB漫画と紙面の漫画は違うのである。
紙面の漫画をそのままWEBに掲載しても、イマイチ面白くない。
WEB漫画をそのまま紙面に掲載しても、イマイチ面白くない。
媒体の違いによって、「育ってきた文法」が既に違うのだから。